<Weekly Tweets 2010年8月1日>
■書体とシステム
これが写植システムで使用されていた「文字盤」です<クリックで拡大します>印刷業界がDTPに移行して、もう何年になるのだろう。
私が、書体(フォント)を意識するようになったのはデザイナーの職についてからで、それまでは、明朝体・ゴシック体のカテゴリーしか知らず、現場に入って驚かされたのがその種類の多さで、和文・欧文の主要な書体名を憶えるだけでも大変だった。
そのように意図的に書体に接するようになってから印刷物を見ていくと、いろいろ発見があって興味が出てくる。チラシやポスター、中でも雑誌の表紙は様々な試みがされていて特に面白い。
マンガ雑誌で、とりわけグラフィックに力を入れていたのが(1980年代当時)小学館でビッグコミック系や、少年サンデーまで、凝った書体の使い方や組み方をしていたのを憶えている。1970年代に講談社の少年マガジンが表紙デザインで横尾忠則を起用して話題になった事があるが、1980年代以降、デザインに関しては小学館の方にこだわりが感じられたように思う。閑話休題。
当時印刷物の文字を一手に引き受けていたのが写真植字、いわゆる「写植」という文字のネガ(ガラス製の文字盤※左上写真参照)をレンズで拡大または変形して印画紙に焼き付けるシステムで、この機材や書体を供給していたのが「写研」というメーカーだった。
この「写研」が販売していた書体は非常にセンスが良く、使い勝手も良いモノが多いので、DTP全盛の現在でも使用され続けていると聞く。「写研」の書体を知っている者から見ると、デジタルフォントの貧弱さは、ツライものに感じていたのが本音で、現在はかなり改善されているが、それでも「早く写研もDTPに対応してほしいな~」思っている人が多いのも又、事実。
しかし当然、デジタルにも良さはあり、特にインターネットが普及してからは、市井のデザイナーがオリジナルフォントを作りネットで配布するという「フリーフォント」が登場した事で、玉石混合の感はあるにしても、ベンダーでは出来ない自由な発想の書体群には、かなり魅力を感じる。
良い書体は、それだけでも訴求力があるし、それを生かし、さらに魅力を引き出しているデザインを見るとワクワクしてくる。長年デザインを通して文字に関わっているが、既存のシステムとネットの世界がミックスされていく中で、今後どんな書体が現れてくるのか、非常に楽しみだ。


